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景色をつくる

2024年01月08日

古来からの壁は、土塗りで仕上げられるのが多く、左官職の手によるものでした。
腕の立つ左官は、それはきれいに、立派に仕上げます。

しかし、仕上げがきれいに仕上がるほどに、住まい手は傷をつけまいとする緊張感が生まれてしまい、気楽に住まうことができなくなってしまいます。
このことを知っている腕の立つ左官は、しっかりと仕上げた壁に自らの手で傷をつけてしまいます。

「最初の傷は私がつけてしまいましたから、どうぞ気楽に住まいながらこれからはお施主様が傷をつけていってくださいね。
この家もいずれ、お施主様の景色になっていくでしょう。」

職人気質の左官は、流暢に語ってはくれる人は少ないのですが、この最初の傷が「景色をつくる」です。
心に安らぎを求めるという意味での健康に関しても、そして傷と付き合いながら長く暮らしてゆく持続性においても、日本人の古い知恵にはHealth&Sustainabilityのこころが込められていました。
傷がついてゆくことは、年老いてゆくことと同じ、本質的には慶びなのです。